
ワクチン接種
ワクチン接種で防げる病気


ワクチン接種によって防ぐことのできる病気のことをVPD(vaccine preventable diseasesの略)といいます。疾患としては、麻疹や風疹、おたふくかぜ、水痘、百日咳、ポリオ、破傷風、ジフテリア、日本脳炎などの知られた病気から、最近よく聞くようになったHib感染症や肺炎球菌感染症、成人でみられるA型肝炎やB型肝炎などがあります。また、嘔吐下痢症の原因となるロタウイルス感染症があります。
ワクチンを接種すれば絶対病気にかからないわけではありませんが、接種した人の8~9割は罹患せず、仮にかかっても重症化を防ぐ効果があります。ワクチン接種によって病気にかかりにくく、重篤な合併症で命を落としたり、後遺症が残らないようにすることが大切です。
主な病気とワクチン接種

日本脳炎
日本脳炎は日本脳炎ウイルスが引き起こす病気です。豚の体内で増殖したウイルスを蚊が媒介することでヒトに感染します。発熱や頭痛、嘔吐に続いてけいれんや意識障害などの症状が現れます。発症したときにはすでに脳内でウイルスが増殖して神経細胞を破壊しているので治すことはできません。死亡率20~25%といわれ、生存しても運動麻痺や知的障害、失明などの後遺症が残ります。
日本(東京以西)の豚の大半がウイルスを保有していて、予防のためには日本脳炎ワクチンの接種が必須です。
おたふくかぜ
おたふくかぜは正式名称「流行性耳下腺炎」といわれ、おたふくのように顔が腫れることから、そう呼ばれています。耳下腺の腫れと痛みが主な症状で、発熱がない場合もあります。ウイルスが体内に入って3週間程で症状が現れますが、特効薬はありません。主な合併症として髄膜炎(脳を包む膜の腫れ、頭痛、発熱、嘔吐などの症状)があり、おたふくかぜ100人中3~10人で発症します。また、合併症として難聴があり、いったん発症すると回復しません。男性では精巣炎(25%)、女性では卵巣炎(5%)、乳房炎などの合併症があり、精巣炎では男性不妊を併発します。
予防接種は2回接種が原則となっています。1回接種では4人に1人が予防できません。
B型肝炎
B型肝炎はB型肝炎ウイルスが含まれる血液や尿、唾液、涙などの体液が私たちの体内に入ることで引き起こされます。成人が感染すると肝炎を発症して、その後大半が治癒しますが、新生児や乳幼児に感染するとウイルスが肝臓に住みついてしまい、ほとんど症状がなく、検査して初めて分かります。この状態をキャリアといい、日本全体では感染している人が約150万人いて、そのうちの約1割は肝臓がんを発症するといわれています。
このウイルスは感染力が強く、感染を防ぐワクチンがB型肝炎ワクチンです。感染した母親から生まれる際に起こる母子感染では、出生直後からの接種が必要になります。生後2カ月から接種が可能で、初回接種から1カ月後と5~6カ月後の合計3回接種が必要となります。
麻疹風疹混合(MR)ワクチン
風疹は三日はしかと呼ばれ、春先から初夏にかけて多く発生し、感染後2~3週間で発熱、発疹、頸のリンパ節の腫れなどの症状が現れます。血小板減少性紫斑病や脳炎などの合併症があります。最も重要なことは妊娠初期に感染してしまうと、死産や流産の他、先天性風疹症候群(心臓病、白内障、難聴など)の赤ちゃんが生まれる可能性が高くなることです。妊娠可能な女性のワクチン接種の他、その周りの人がワクチン接種を受けて感染を防ぐことが大切です。すでに妊娠されている方の同居家族も、新しい命を守るために積極的に接種を受けことが大切になります。
ワクチンには麻疹風疹混合(MR)ワクチンと風疹単独ワクチンがあります。
水痘
水痘は空気感染するため、保育園などの比較的閉鎖的な空間で流行しがちな病気です。主な症状としては皮膚に水泡ができ1週間程で治りますが、脳炎や重症肺炎になる場合もあり、脳炎の場合は後遺症が必発し、肺炎の場合は死亡率が高いとされています。水痘にかかるとウイルスは体内に一生存在し、抵抗力が落ちたり高齢になって帯状疱疹が再発したりします。水痘ワクチンは、この帯状疱疹にも効果があるワクチンです。
このワクチンは2回の定期接種となっており、初回接種から3~6カ月後に2回目の接種をおこないます。


年齢別の接種ワクチン

0才のときに受けるワクチン
【定期接種】
ヒブワクチン 4種混合ワクチン 小児用肺炎球菌ワクチン (日本脳炎ワクチン)
B型肝炎ワクチン ロタウイルスワクチン
1才のときに受けるワクチン
【定期接種】
麻疹風疹混合(MR)ワクチン1期
水痘ワクチン ヒブワクチン 追加接種 4種混合ワクチン 追加接種
小児用肺炎球菌ワクチン 追加接種 (日本脳炎ワクチン)
【任意接種】
おたふくかぜワクチン(1回目)(自費)
3才になったら接種するワクチン
日本脳炎ワクチン1期 1回目
1~4週間おいて 2回目
この接種後おおむね1年おいて 追加接種
(7才6カ月を過ぎると公費では接種できません)
5才(年長)になったら接種するワクチン
麻疹風疹混合(MR)ワクチン2期
おたふくかぜワクチン(2回目)(自費)
9才になったら接種するワクチン
日本脳炎ワクチン2期
12才(6年生)になったら接種するワクチン
二種混合(DT)ワクチン
【6年生女子】
子宮頸癌ワクチン